絶対零度の孤独を抱えた男たち/梶本レイカ『コオリオニ上・下』
どうも!ちゃす!窓際(23)です。
すっごい関係ないんですが、この記事、こっそり会社でかいてます。だって会社だとディスプレイあって便利なんだもん....ほんとどうしようもない社員ですみません。でも生きるの楽しいっす!
ちょっとした踏絵です。
今回は、読むたびにいろんなところが痛くなるけど、でも読まずにはいられない作品、『コオリオニ』を紹介します~ちなみに元気じゃないときに読むと大変なことになるのでわたしも注意してます。ちなみに萌えを期待して読むとクソ火傷します。
でもマジで好き....ホント好き....
※Amazoneでは欠品のようですが、書店で注文できたりするらしいので、気になる方はぜひ書店経由で注文してください。
あらすじ
1990年代、北海道――…全国を震撼させる警察の不祥事が幕を開ける。
1990年代、警察庁は相次ぐ拳銃事件の対策として全国的な銃器摘発キャンペーンを始める。全国の警察は厳しいノルマを設けられ、それをこなす為に警察がヤクザと手を組むという点数稼ぎのデキレースが横行した。そんな中にエースと呼ばれる男・鬼戸圭介(ルビ:きど けいすけ)はいた。彼は何人もの犯罪者を情報提供者として飼い、北海道警察の中で一際多くの拳銃を"摘発"していった。そして彼は自分の運命である誠凛会(ルビ:せいりんかい)の幹部・八敷 翔(ルビ:やしき しょう)に出逢ってしまう。より大きい山を当てるために鬼戸は柏組(かしわぐみ)の武器庫に目を付け、八敷を潜入捜査に誘う。八敷は薬の密輸入を目溢しすることを条件に鬼戸と組む。二人は甘美な成功を期待して潜入捜査に乗り込むが――。男達が自らの欲望の果てに見た景色とはなんだったのか。息を吐かせぬ展開で描く渾身のサスペンスBL。
武器庫....?銃の摘発....?
もうね、ヤクザ系コンテンツに普段触れない私からしたら一回よんだだけだとあらすじの意味すらわからんよね....そしてあらすじから漂いまくるノワール色。サスペンスBLなんてジャンルあったんすか....
ちなみにちるちるのレビューのページをみると↓↓↓
エロは標準なのに、その他の偏り方がヤバくね???もうこの段階からだいぶ読む人選ぶ感じ、伝わってますでしょうか。
魅力① バイオレンス VS エロ/バイオレンス VS さみしさ
暴力の描写にはちょっと覚悟してよんだ方がいいやもしれません。
足の指とか手の指とかぶっとぶし、耳とかぶっ飛ぶし、バリバリ殴るし...痛い....読んでて痛いです。でもその痛さが物語にリアリティーを加えているのも事実で。演出としては成功しているように思います。
あくまで物語の中では、ですがこの暴力の描写が物語を鬼気迫ったものにしていて、エロを際立たせ、鬼と屋敷のさみしさを際立たせているんですよね。
魅力② 読めば読むほど八敷がかわいい
←読めば読むほどかわいく見えてくる八敷さん
やっぱりこの作品をこんなにも魅力的にしているのは八敷さんの存在ですよね。
わたしはビッチキャラの美人なのになんかさみしい感じがとても好きで。
そんなワイからしたら八敷さんはドストライク....ホームラン級の選手....もはや愛おしいい。こんなにもヒョウヒョウと生きているのに、簡単に人のこと裏切っちゃうし、簡単に股開いちゃうのに(股開いてどうにかなるなら開けばいいじゃん、というその軽さとだれにも心を開いてこなかったOR開ける相手がいなかった孤独のその対比 IS GREAT)、それでも誰かを愛したくて愛されたくてたまらなかったんだな~と思うと愛おしさ爆発します。
書下ろしの番外編の、佐伯さん目線での八敷がこの物語をさらに重厚なものにしていて。
この佐伯さんのさみしさも必見なんだわ~
「普通の人」なのに発達障害のため、ふつう側にはいけなくて。(それはおかしいことではない、といってくれる人はいなかったんだね)
「普通の人」だから氷の城の中には入れなかった。一番さみしい人かもしれません
←ちなみに鬼戸さん
※ちなみに梶本先生は同人誌で八敷の番外編をだしていたみたいです。八敷が刺青をさすところの話らしい。読まなきゃ!
絶対零度の孤独をかかえた男たち。
鬼戸も八敷も、ほんとクズで。もうどうしようもないんですよ。でも、そのどうしようもなさを自覚しながら、だれとも分かち合えないままに生きてきたんだな、と思うと本当にさみしくて。だれも自分のことを本当に理解してはくれない世界でいきていくのってしんどすぎませんか?
そんな絶対零度の孤独を抱えていきてきた2人がやっとよりそう相手を見つけられたんだ、と思うと.....もう目から鼻水とまらん.....
だれにも褒められない人生だとしても、2人は相手がいればそれで生きていけるんじゃないでしょうか。それはそれですっごい幸せですよね。
さみしくて、しんどいあなたへ。
語弊があるかもしれませんが、もうBLなんて作画とエロさとセリフがいい感じならば、ストーリーの部分はなくてもオッケー☆みたいな傾向あったりするんですが、梶本先生はそのBLのコードに果敢に挑んでいらっしゃるような気がします。
ー大胆な時間軸の構成
ー緻密な伏線
ー多視点でのストーリーテリングによる物語の厚み
そんなものはBLには必要ないのかもしれません。それでもこの作品で描こうとした梶本先生の挑戦と漫画愛に感銘を受けます。それでもその人の心に残る作品であってほしいという気概がビンビン伝わってきます。.
....先生、ちゃんと伝わってますよ~~~!!!
上巻のあらすじで、梶本先生の「何処かにきっと居られるどうにも生き辛いどなたかに せめてひと時楽しんで戴けます様に」というコメント、ホントに泣けました。
この作品を生んでくださってありがとうございます。
おススメ度 :☆
※初心者にはおススメしません
ディープ度 :☆☆☆☆☆☆
心えぐられ度:☆☆☆☆☆☆☆
※でも人のさみしさ、に共鳴したことがある方には刺さるようなきがします。